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英文契約書の基本構成
英文契約書は、大きく分けて4つの部分から構成されています。
① 「表題」
契約書のタイトルが入ります。
② 「前文」
契約当事者の名称、住所、契約締結日のほか、契約締結に至った経緯をまとめたRecitals(リサイタルズ)およびWhereas条項が入ります。
③ 「本文」
General Terms (一般条項)と Principal Terms(主要条件)から成り立っています。
④ 「末文」
本契約書の合意を確認する文書とともに契約当事者の代表者の署名および肩書が入ります。
General Terms
- Definitions(定義条項)
契約書における言葉の解釈の違いを生まないために定義を記載します。通常は、第1条が定義条項となり、定義語句を列挙します。定義する語句の頭文字を大文字にするのが一般的で、契約書内でも頭文字を大文字にし、定義語句であることを明確にします。
- Term(契約期間条項)
契約期間が終了前の一定期間の間に契約更新しない旨を書面で相手側に通知しないと翌年(あるいは翌契約期間)も自動更新されるケースが一般的です。双方の合意により契約期間が延長される場合や、当事者の一方の裁量によってのみ契約延長ができる場合もあります。
- Notice(通知条項)
契約解除の通知、商品に不良品があった場合のクレーム、不慮の事故等で契約の履行が困難と予想される場合の事前通告など、万が一の場合に備え、トラブルが起こった際の通知方法および通知先や通知の発効規定等を契約書内に条項として盛り込みます。通知の仕方は、書留で行われるほかにもファックス通知してから書留を送る方法もあります。
- Assignment(契約譲渡条項)
本契約締結後、一方の当事者が契約履行のために、契約内容の一部およびすべての履行を下請けに委託する場合があります。本契約の当事者以外に契約を譲渡する際に、事前に相手の書面での同意を得るのが一般的であり、譲渡先のSubcontractor(下請け)にも当事者と同じ契約条件を順守させるたり、委託先が親会社であったり完全な子会社であっても、契約内容を譲渡する場合には、相手方当事者から同様に書面での同意が必要とさせる場合があります。賠償責任を明確にするために、委託先のSubcontractor(下請け)で何らかの過失があった場合は、元請けである本契約の当事者が100%責任を負うことなどを明記します。契約の譲渡は原則禁止ですが、準拠法によっては譲渡が認められている場合があります。本条項を明確に規定することによって、契約の譲渡が不当に行われることを予防することができます。
- Termination(契約解除条項 )
契約の履行において、相手側が契約書に記載したいずれかに該当した場合に、一方の当事者はもう一方の当事者に通知を行うことで本契約の解除を行うことができる旨を取り決めます。支払の遅延、商品納入の遅延、改善通告の未対応、破産申立時などの契約の不履行、相手方当事者が自社の競合企業にM&Aされた場合など、自社にとって不利益になる事象が発生した場合にその不利益を最小限に抑えるために事前に契約解除条項を取り決めておきます。例えば、契約違反が露見した場合、軽微な過失であれば当事者から是正通知後ある一定の期間内に是正されなければ解除とし、重大な過失や意図的な不正行為があった場合は相手方への通知なしに即刻契約解除ができるという規定の仕方も可能です。
- Entire Agreement(最終性条項)
英米法にはParol Evidence Ruleという口頭証拠排除の原則がありますが、日本は大陸法の法体系なので契約書の意味あいが異なるため、しっかり契約書内に最終性条項を盛り込み、本契約書が他のどの取り決めよりも優先されることを明確にします。本契約書に記載のない内容について口頭あるいは書面にかからわず事前に取り決めがあった場合でも、それらは本契約書の発効以後は、一切効力を持たない旨が記載されるケースが多く、契約にまつわる何らかの事象が発生した場合に備え、本契約書が優先的に拘束力を持つ書面であることを当事者間で事前に合意している旨が記載されます。完全合意条項とも言われます。
- Amendment and Modification(修正・変更条項)
本契約締結した後で、現状の契約内容では双方あるいはいずれかにとって不都合な場合などに、事前の通知および双方の署名入りの書面を交わすことによって本契約内容の修正や変更が認められるケースが一般的です。契約締結後の修正や変更は、後でトラブルになった際に口頭であの時に言った言わないという無益な論争を避ける為にも、必ず書面で修正および変更内容を記載することを明記するのが安全です。修正した内容を記載したAmendment Agreement(修正契約)は、本契約の重要な一部ですから、本契約書と一緒に厳重に保管しておくことが大切です。
- Force Majeure (不可抗力条項)
本契約締結後に、現状の契約内容では双方あるいはいずれかにとって不都合な場合などに、事前の通知および双方の署名入りの書面を交わすことにより本契約内容の修正や変更が認められます。不可抗力の定義の解釈は、人によって異なるので、起こりうる事象を想定して、それらが発生した場合は確実に不可抗力条項が発効するように、本条項の中に記載します。例えば、天災、法律や法令の遵守、火災、地震、嵐、洪水、戦争、革命、暴動、ストライキ、疫病などが一般的です。
- Governing Law(準拠法条項)
当事者同士が異なる国である場合、どちらの国の法律が準拠法として採用されるか契約書で明確にしておきます。当事者同士の力関係に応じて、米国などの第三国の法律が適用させるケースもあります。契約書で準拠法を規定していないと、裁判が行わわれる国の国際私法によって判断されることになり、国際私法は国によって内容が異なるので、自己の不利益になる危険性が多いにあるので、国際取引では契約書内に準拠法条項を盛り込むのが一般的です。
- Jurisdiction(裁判管轄)
訴訟になった場合に備え、準拠法とともにexclusive jurisdiction and venue on courts(専属管轄権および裁判地)を契約書内に明記しておくことも未然に訴訟リスクを減らす安全策です。exclusive jurisdictionは、その裁判所を専属としてそれ以外は排除されますが、non-exclusive jurisdictionの場合は規定されている裁判所以外でも訴訟が可能となります。
- Arbitration(仲裁条項)
契約内容の解釈や履行義務などにおいて、当事者間で見解が異なり、当事者間の話し合いでは解決できない場合などに、仲裁する機関を事前に取り決めておきます。訴訟によって裁判所で争うのに比べ、いろいろな利点があります。仲裁機関の判断は、裁判所の判決と同等でありながら、訴訟とは異なり一審制でスピーディーに判断が下されるとともに、非公開のためにプライバシーが守られるというメリットがあります。米国だとAmerican Arbitration Associationという仲裁機関があり、日本には日本商事仲裁協会があります。
- No Waiver(権利非放棄条項)
例えば、一方の当事者に契約内容の不履行があって、相手方当事者がたまたまその時に履行の要求をしなかったり遅延したばかりに、それが権利の放棄とみなされて以後の不利益を被ることがないよう、No Waiver条項を契約書内に明記し、権利が自分の意志とは無関係に勝手に放棄されることを防ぐための条項です。これは英米法におけるestoppel(禁反言の原則)によって、権利の行使が続くと自動的に権利と放棄とみなされる可能性を排除するために契約書に記載するものです。
- Severability (分離可能性条項)
いずれかの当事者に契約違反があった場合に、契約の一部の不履行の為に契約全体を解除してしまうと不都合な場合が多く、無効の範囲を違反のあった部分に制限し、残りの契約は存続させる規定です。ただし、公序良俗に反するような重大な違反の場合、この分離可能性条項を適用せずに契約全体を無効とする場合もあります。
契約書・法律文書の翻訳、お任せください
当センターでは、法律分野に精通した翻訳者による高度な専門的知識を踏まえた翻訳物の提供をお約束いたします。国際取引における契約書および法務関連の翻訳は、安心してお任せください。
海外取引の多くは英文の契約書が取り交わされています。
実質的には米国の法体系が契約書の基準となっており、国際契約書は英米法に基づいて作成されています。英米法では「合意」と「契約」は区別されています。当事者間で契約書を交わさない合意であっても契約として有効となり得る「大陸法」とは異なり、約因(consideration)がないと契約は成立しません。「約因」があるということは、取引先双方がそれぞれ負担する義務を負っていることを意味します。
日本の法律は第二次世界大戦前の憲法に基づき、もともとはドイツやフランスなどの西ヨーロッパの大陸法の影響を受けています。「大陸法」は民法や刑法などの成文法に基づく法体系で、戦後に日本に大きな影響力を持つようになった米国が採用する英米法の判例を積み重ねる判例法とは考え方が異なっています。現在の日本の法律は元々の西ヨーロッパの影響を受けた戦前の大陸法を土台に英米法の影響も受けて作られているのが特徴です。その辺りの歴史的な経緯や成り立ちも法律を解釈する上で、留意しておきたい点です。
また、国際的な契約を結ぶ時にはその契約書がどの国の法律で解釈されるかという準拠法 (Governing Law) もキーポイントになってきます。言語、文化、宗教、習慣、法律などが異なる国際間取引では、単なる合意だけでは誤解が生じるだけでなく双方にとって不利益な結果につながります。しっかり契約書の文面で条項やルールを制定すれば、不要な争いも減じます。契約書にも裁判があった場合にどの国の法律で裁くという「準拠法」を明確に定めておくことが必要です。契約書に「準拠法」を定められていない場合、紛争時には裁判が行われる国の国際私法あるいは抵触法という法律で準拠法が判断されます。
注意すべき点は「国際私法」は国によって内容が異なることです。通例的には、訴訟が提起された国の国際私法によって準拠法が決まることが多くなっています。日本における国際私法は「法の適用に関する通則法」が定められており、法の適用関係に関する事項が規定されている日本の法律です。我が国の「通則法」においては、「当事者が当該法律行為の当時に選択した地の法による」という準拠法に関する規定があり、契約書に準拠法が指定されていない場合は「最密接関係地法」によると定められています。また通則法では、当事者が準拠法として日本法以外の外国法を選択した場合や、国際私法によって外国法が準拠法として適用される場合でも、その規定が公の秩序又は善良の風俗に反する時は、当該規定を適用しないとも定めています。
最近では、英語で記載された契約書でも日本法を準拠法として採用している契約書も増えてきましたが、契約書に準拠法が明記されていなければ、もし裁判になった場合に自社に不当に不利な条件で争うことにもなりかねないので、契約締結時に細心の注意が必要です。
海外企業との国際取引において主要な取引条件が合意に向かうと、双方が自社に有利になるような契約フォームを自社で用意して相手方と契約しようとします。相手方の用意した契約書フォームの場合、特に外国語の場合は、契約を正式に結ぶ前に細かな補足条項や免責条項に至るまで、自社にとって不当に不利な項目が盛り込まれていないか、確認することも取引リスクを低減化させる企業防衛の一つの方法です。
関連情報
海外メーカ―と商取引を行い製品製造を委託し、日本国内でその製品を販売する場合、大きく分けて契約の結び方はライセンス契約とOEM契約の二通りがあります。
[ライセンス契約]
例えば、メーカーが海外一流ブランドの場合、そのブランド名で知名度や信頼性が浸透しており、既に付加価値がついているのでライセンス契約になることがあります。この契約では、メーカー側は商標・著作権・特許等の元々の知的財産権を保有する「ライセンサー」という立場になります。一方、そのライセンサーとライセンス契約を結び、商標やブランド名や付けた商品を売る側は「ライセンシー」となります。ライセンサーは、商標やブランド名を使用させたり製造技術ノウハウを提供する代わりにライセンシーからライセンス料や売上からのロイヤリティを契約内容に応じて取得します。ライセンシーも、契約に基づきライセンサーの商標やブランドのイメージを損なわないように販売やサービスの品質の維持に努めます。ライセンシーが特定の期間中にある一定の売上や出店条件などをクリアできない場合にライセンス契約が解除になるという条項を契約書に付されるケースが一般的です。
[OEM契約]
OEMとは、Original Equipment Manufacturing あるいは Original Equipment Manufacturer の意味です。国内で既に自社の商標やブランドが広く認知されている場合、OEM契約によって委託先から製品だけOEM供給してもらう契約方法です。契約内容によって、自社で仕様やデザインを決めて製品の製造委託だけを行う場合もあれば、既に製品化されている商品の仕様やデザインを一部変更して供給される場合もあります。自社が製造メーカーだったとしても、商品ラインを素早く拡充したい場合や、既に製造元のメーカーから市場に出ている製品でも自社のブランド名や販売流通網を利用して自社製品として販売したい場合に、委託先とそのようなOEM契約を結ぶことが多いです。商品開発のコストやリスクを抑えることのできる手法として古くから国内外で広く採用されています。
ライセンサー ・・・ licenser
ライセンシー ・・・ licensee
ロイヤリティ ・・・ royalty
OEM契約 ・・・ OEM agreement
商標 ・・・ trademark
正式な売買契約を「sales agreement」や「sales contract」と表記しますが、正式な契約を結ぶ前の途中段階で、一方の当事者が他方の当事者へある条件を表明し今後その条件をもとに契約締結向けて交渉を進めるかどうか相手に合意を求めたり、あるいは中間的な当事者間の合意内容を双方が文書によって確認する為に「letter of intent」という「予備的合意書」がレター形式で作成されることがよくあります。基本的合意内容が固まった時点で作成される場合が多く、法的強制力を持つかどうかはその文書の内容や規定の仕方によって持つ事もあれば、持たない場合もあります。また、同様に取引条件を補足する文書としてMemorandum of Understanding (MOU) という「了解覚書」が当事者間で交わされる場合があり、契約締結に至るまでの出来事や経緯を契約書のように署名する文書もあります。Memorandum of Understanding (MOU) も、その内容次第で法的拘束力を持つかどうかが決まります。
letter of intent(LOI)・・・ 予備的合意書
Memorandum of Understanding (MOU) ・・・ 了解覚書
法的強制力 ・・・ enforceability
法的拘束力 ・・・ legal binding force
契約締結 ・・・ conclusion of a contract
英文契約の特徴の一つとして前文に「説明条項(whereas clause)」という項目があります。契約当事者が契約締結に至るまでの経緯や契約の意図など、契約全体の概要や背景を説明している箇所です。英文契約書では前文に相当するものですが、日本の契約書にはあまり見られない国際契約の様式です。裁判などで契約書本文だけでは裁定が難しい場合など、前文が司法の契約の解釈の判断に大きな影響を与えたり、損害賠償金の多寡が決められたりする場合もあるので、重要な事柄について誤解を生まないように明記すると良いでしょう。「whereas clause」の最後に「in consideration of ….」という書き方が用いられる場合が多いですが、これは契約に捺印証書(deed)が用いられない場合に約因があることを明らかにする文言です。現代社会の一般的な会社間の契約では、捺印証書(deed)が時代とともに簡略化されるようになるに従い、約因理論の重要性も薄れてきており、慣習的に用いられている英文契約書独特の書き方と捉えればよいでしょう。
説明条項 ・・・ whereas clause
契約書の前文 ・・・ non-operative part
損害賠償金・・ compensation for damages
捺印証書 ・・・・ deed
約因 ・・・ consideration
「禁反言」とは、自己による言動や記載(表示)によって、それらを事実と信じてそれらを前提に行動した相手に対し、それらをの言動や記載(表示)した者はそれらが虚偽であったと主張したり、それらと矛盾するような客観的な真実を主張することはできないという英米法の法理です。説明条項 (whereas clause)は当事者間の合意内容ではないのでこの記載によって契約内容自体が拘束されることはありませんが、契約にいたるまでの経緯が正確に記載されるべき箇所であることから、もし訴訟が起きた場合にそれらと矛盾することは主張として認められないので、説明条項と言えども記載にはよく注意をはらうべきです。
禁反言 ・・・estoppel
法理 ・・・ legal principle
訴訟 ・・・ litigation (suit, lawsuit)
矛盾 ・・・ contradiction
契約書の末尾に「In Witness Whereof, ……. 」と書式の文章が入ることが一般的です。これは「その(上記の)証として …..」という意味の英文契約書では定型のスタイルです。この先に続く文章としては、一例ですが「その(上記の)証として、両当事者は本契約を上記に記載の年月日に、正当に授権された代表者または代理人によって署名がなされた。」という旨の表記がされます。冒頭の契約書の標題で提示された契約内容が、両当事者の署名によって特定の期日に正当に交わされたことを契約書の中に明記している重要な箇所です。
両当事者 ・・・ both parties
署名 ・・・ signature
代表者 ・・・ representative
代理人 ・・・ agent
標題 ・・・title